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「泣き虫ハァちゃん」新潮社

河合隼雄さんの遺作童話。
絵がたくさんあるので、読みやすそうだと思って買って、
すぐ読んでしまった。
河合さん自身の幼稚園から小3年の時の実話をもとにしたお話。
すごくよかった。
男の子のくせに、ものすごく泣き虫なハァちゃん。

ある日、大好きな「どんぐりころころ」を歌っていて
大変なことに気付く。
2番の歌詞だ。

どんぐりころころ よろこんで
しばらくいっしょに あそんだが
やっぱりおやまが こいしいと
ないては どじょうをこまらせた

ハァちゃんは急に心配になってきた。

「どんぐりころころは、家に帰れたんやろか」

どじょうは困ってるし、その前でえーんえーんと泣いてる
ドングリさんの姿が目に浮かんでしまった。
もう気になってたまらないハァちゃん、姉やに聞きに行く。
すると姉や、

「お池にはまった、ドングリでっか?
そら、帰れまへんな」

そっけなく言われ、ハァちゃんは、からだがジーンとしてくる。
なにやら目の辺りに異変を感じる。
急いで走って誰もいない2階の子供部屋に行き、部屋の隅に座ると、
涙が、あとからあとから、あふれてくる。

「かわいそうに」

涙が止まらないハァちゃんに気付いた大きいお兄ちゃんは、
スバラシイ説明をして、ハァちゃんを元気づけた。

「あの山の下に、ハァちゃんがどんぐり拾いに行く、
大きなどんぐりの木があるやろ?
あれももとは、どんぐりの実やったんや。
そこから芽が出て、葉っぱが出て、大きなどんぐりの木になったんや。
せやから、どんぐりころころは、家に帰らんでもええんや」
「家に帰らんでも、ええの?」
「そや、そや。家に帰らんでも、そこでがんばって木になれば、ええんや」
ハァちゃんの目から涙はもう止まっていた。


河合隼雄さんの著作には、(あんまり読んでないけど)
今まで何度も救われる思いをしてきた。
そういう気持ちを、あとがきの、谷川俊太郎の詩、
「来てくれる」
が、研ぎ澄ましたやさしい言葉で表してくれてる。

私が本当に疲れて
生きることに疲れ切って
空からも木からも人からも
目を逸らすとき
あなたが来てくれる
いつもと同じ何食わぬ顔で
駄洒落をポケットにかくして
(以下略)

ひとり途方にくれるとき
あなたが来てくれる
泣けるぜ。
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by mqusumi | 2007-12-14 16:23 | 感想
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