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煙草が美味い町で。

北埼玉の某市に取材で行った。
ジジババの多い町で、日曜なのに人がいない。
全体に垂直平行がバラバラで、子供が描いた絵を
そのまま現実化したような家があったりする。
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目まいがするようなボロい駄菓子屋に入った。
すっかり灰色になったのれんをくぐると、
ばあさんが奥から出てきた。
丸見えの奥は自宅の居間で、さらに奥が台所。
じいさんの、万年掘りごたつでテレビを見ている背中が
すぐそこにある。
テレビの上にこけし。飲んでいるのはペットボトルのお〜いお茶。
こちらを振り向こうともしない。
そんな居間は店と雑然とつながってる。新聞紙。ティッシュ箱。
厨房に入るところに、油光りした玉のれんあり。
蛍光灯のヒモスイッチの先になんか木の輪っか。
キズだらけの黒いガラステーブルは、実はインベーダーゲームみたいな
ゲームテーブルだった(今はもちろんできない)。
焼きそば小200円。ラムネ100円。
ばあさんが焼いてくれる。
店内は駄菓子が半分。ものすごく古そうな煎餅5枚20円大丈夫か。
背が小さい小さいばあさん。
ここ5年でまたずいぶん小さくなった、そんなふうに見える。

ボクがいる間、客ゼロ。
焼きそばができあがると、
奥からテレビの音が小さく聞こえるほか音は無くなる。
キャベツと豚肉が少し。紅生姜が少し。青海苔も少し。
焼きそばの皿が実に昭和レトロに安っぽい柄。実家にあったような。
これ以上無いというほど素朴なソース焼きそばの味。
もうずーっと遠くなってしまった味。でもどこかで食べた焼きそば。

長い時間、通り過ぎた人々の影、駆け抜けていった時代が、
セメント床に、泥のように沈殿している。
でも空気は水のように澄んでいる。
ボクは、それを濁らせないように、話を聞くのをやめた。
外はとうとう小雨が降り出したようだ。傘が無い。

あ、じいさん、今、おならしなかった?
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by mqusumi | 2008-09-22 16:36 | こんなことがあった
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