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煙が目にしみる

SMOKE GETS IN YOUR EYES(煙が目にしみる)という名曲がある。
誰でも聴いたことがあると思う(↓ここで聴ける)
http://e-sheltie.com/song&music/box/smokeget.html
この曲、ボクにとって、意外性に満ちた曲だ。

今日も友達の日記で意外なことを知った。
この歌の作曲者は、ジャズギタリストのスティーブ・カーンのお父さん(jerome kern)だという。知らなかった。
しかもこの人、作詞家として有名な人。でもこの歌では作曲。

スティーヴ・カーンは80年代、いわゆるフュージョンブームでも活躍した
ギタリスト。
ジャケットにいつも、美しい水彩画家フォロンのイラストを使ってる。
彼のアルバムでボクはフォロンを知った。
最近久々にリーダーアルバムを出したな。
関係ないけど、当時ヒットしてたビリー・ジョエルの「ストレンジャー」
のプロモで、後ろの方で生ギターを弾いてるスティーヴ・カーンを
発見したときは「一流ジャズミュージシャンもこんな仕事してるんだ」と
思った記憶がある。

この曲をボクが知ったのは、高校生の時。
映画『アメリカン・グラフィティ』の中で印象的に使われていた。
プラターズの演奏だ。オリジナルと思ってたらカバーだった。
中間部がボレロみたいなリズムになってるのが意外。
ギターで弾いてみようと、楽譜を探して見たら、これが最初から
難しいコードの連続で、驚いた。ちっともそう聞こえないのに。

次にこの曲に出会ったのは、大学生の時、中古レコード屋で。
ジャズピアノのセロニアス・モンクのアルバムに見つけた。
少し驚いて即買い。
これがメランコリックで、ちょっとユーモラスで素晴らしい演奏。

それから、大人になって、今でも大好きな大好きな映画、
『Smoke』のエンドロールでこの曲は素晴らしい余韻を味あわせてくれた。
明るいけどちょっと切ない、ギターのインストルメンタルの演奏が
丁寧にメロディを弾いている。
イイ音だなあ、いったい誰だろう、と思ったら最後に

演奏 ジェリー・ガルシア

と出て、その意外さに映画館の暗闇で思わず唸った。
かのグレートフル・デッドの親玉、ヒッピーの神様ではありませんか。
映画を観たとき、彼の死はまだ古い話ではなかったと思う。
しかも、後で知ったが、この演奏が彼の生前の最後の録音なんだという。
なんとも言えない気持ちになりましたね。

そして、最近知ったのだがこの歌の歌詞は
「泣いてなんかないよ、煙草の煙が目にしみただけだい」
というものだ、とずっと思っていたが、そうじゃなかった。
目にしみるのは「恋の炎が消えたとき立ち上る煙」だった。
どこでそう刷り込まれたんだろう?

でもそういう風に誤解しても、曲解するのも、歌を聴く面白さかもしれない。

モンクの、コップからポロポロ音符がこぼれるようなピアノの音が
たまらなく聴きたくなってきた。
by mqusumi | 2008-02-17 16:57 | こんなことがあった
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