「こやたちのひとりごと」中里和人・写真/谷川俊太郎・文(ビリケン出版) 中里さんは、小屋の写真を撮り続けている人で、これがものすごくイイ。 全国の、いや国外でも、農家や漁村の小屋を撮り続けている。 小屋って、あるけど見ないでしょ。見せるために作ってないでしょ? 道具を置く場所として、便宜上、有り合わせの材料でこしらえてるでしょ? しかも目立たないようなところに、ぽんと作られてるでしょ。 これがしみじみ見ると何ともいいのだ。 たいてい、ボロい。ツギハギ。錆びてる。小さい(巨大なのもある)。 でも並べてみると、何とも人間臭く、カワイイ。そしてユーモラス。 ここに、谷川俊太郎がその小屋の気持ちを、一行ずつ文を添えた。 さすが。笑う。そして泣ける。明るい笑い泣き。 時間と風雪が作り上げた、このやさしい絵本、多くの人に見て欲しい。 「ことば観察にゅうもん」米川明彦・文/祖父江慎・絵(福音館書店) ボクの「大根はエライ」と同じ、「月刊たくさんのふしぎ」の最新号。 装幀界で今や泣く子も黙る祖父江さんが、なんと絵本を作りましたよ。 祖父江さん自身が描く絵というのを初めて見たんだけど、 これがユルクて、でも無駄がなくて、かわいくてキレイなの。まったくもう! もちろんデザイン的にも例の凝り性が全開。でも面白くて、楽しい。 でも内容もなかなかイイですよ、深くて新しくてわかりやすくて。 日本語って、人称代名詞が目茶苦茶多いですね。 ぼく、おれ、わたし、あたし、おいら、おいどん、うち、わて、わい…。 それから、昔と今では同じものをいつの間にか違う名前で呼んでる。 「ぼうし、マフラー、ベスト」は「シャッポ、えりまき、ちょっき」だった。 「とってもオイシイ」、と言う言い方もいくつあるでしょう? トイレの呼び方もたくさんあるぞ。喋り言葉と書き言葉は違うね。 そんな、言葉を観察した子供向けの本。大人が読んでも面白い。 「サヴィニャックのポスターA toZ」レイモン・サヴィニャック 日本語版監修・小柳帝(アノニマ・スタジオ) 名前を知らなくても、いくつか見れば「あ、どこかで見た」という、 50年代から70年代にかけてヨーロッパで活躍したイラストレーターで グラフィックデザイナー。ポスター作家の巨匠、と言ったほうがイイか。 2002年に94歳で亡くなった。 代表作に、彼のポスター制作の格言が添えられてある。 全作品が、シンプル、きれい、わかりやすい。で遊び心がある。 自分とは全然違うけど、ときどき本棚から出して見ると、 頭の中が、一回ザーッと洗い流されるようでよい。 ところで谷口ジローさんとの共著「散歩もの」(フリースタイル)が フランスとオランダで翻訳出版されることになりました。オタンダ。
by mqusumi
| 2008-03-05 17:39
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