新宿駅JR東口改札出て左へ行くとすぐ有料トイレがある。
その先に食べるとこがちょっと固まってあって、そこにベルクはある。 新宿駅構内唯一の個人店舗らしい。 今移転の話があって、反対の署名をお店は募っているようだ。 ベルクは朝7時から夜11時まで年中無休でやっている。 喫茶店でもありビアホールのようでもある。 コーヒー210円、生ビール315円。 安い。メニュー豊富。でも、どれもこだわりが感じられる。 詳しくはここ↓を。食べたくなります。 http://www.berg.jp/ ボクは10年ぐらい前に行ったのが最後だと思う。 2〜3回入ったが「ここでいいか」みたいな原稿渡しか何かの時で 急いでいてコーヒーだけ飲んで用事を済ませすぐ出たので印象があまりない。 すっかり忘れていた。 ちょっとついでがあったので、昨日の夕方、行ってみた。 すごい。混んでる。狭い店内に人が一杯。 こんなだっけ。全然憶えていない。 でも好きだ、この感じ。 イイ活気がある。 店員の接客態度もに、来た人のお腹を空かせるような、自然な元気がある。 セルフサービスのカウンターに並んでたら、 前に並んでる中年カップルが、 「ここって日本一客の回転が早いんですって」 「へえ」 「あのニュートーキョーも参考にしたらしいよ」 「キミそれネットで見たの」 「ううん、テレビ。とネット」 と話していた。 二言目にはネットが出てくる。「とネット」もいい。 テーブルがドトールコーヒーとかみたいに小さい。隣の席と近い。 立って飲んでる人もいる。立って食べてる人もいる。 みんな一人で来てるか、二人組かだ。 ボクは生ビールとチリドッグを頼んだ。そしたら 「今生ビールの交換をしておりますので、少々お待ち下さい」 と若い店員に言われた。その言い方が感じよかったので、 2〜3分だが待つのが全然苦じゃなかった。 むしろお店やメニューやお客さんを眺めているのが面白かった。 確かに客の回転が早く、待ってる時は、席が空くかな、 トレイをもってカウンターも満席で往生するのやだな、 と心配だったが、すっと二人出て、すんなり座れた。 隣りは買い物帰りの五十代夫婦で、その向こうは文庫本を読みながら ハーフ&ハーフを飲みながら文庫本を読んでる若い女性客だった。 反対の隣りはワインを飲んでいる60代くらいの御婦人。シブイ。 ひっきりなしに客の出入りがあり、店員も歩き回ってて、 ガチャガチャワサワサしてるのに、 お客さんがみんな、それぞれにゆったりした顔をしてるのが不思議だ。 オタクっぽい男の子がマンガを読みながらコーヒーとサンドイッチ。 席を探す外国人客二人はちゃんとヨドバシカメラの袋をさげてる。 土曜日の新宿の駅の構内そのもの。 その中に、こうして座っていると、妙に落ちつく。 なんだろう。 世界の雑踏の中に、小さな自分だけの場所を確保したような、小っちゃな安堵。 ビールがスッキリとうまい。 チリドッグも、あたたかくて、パンもしっとりして噛みごたえもあり、 チリソースも香ばしい。 タマネギのスライスがソーセージにいいアクセントをつけてる。 いいじゃん、いいじゃん。 この店の感じ、好きだぞ。 これは確かにチェーン店のマニュアルだらけでできた空気ではない。 カバンから読みかけのSF短編集を出して、 ビールをグビリとやって、ちょっと読む。 そういうのがなんとなく自然な店。本を読んでる人の気持ちワカル。 でもビールとチリドッグだから、すぐ食べ終わってしまう。 小腹が減った小腹が、ちょうどよく収まった。 長居する店ではないが、長居しないと割り切ったリラックスが得られる店だ。 さて、と文庫をカバンにしまおうとしたら、老婦人の向こうにいた女性が 「あの、クスミくん?」 という。 見ると見覚えの無い女性が、ハーフ&ハーフのビールグラスを片手にこちらを見ていた。 セミロングの髪で、薄化粧の大きな目で、一滴の照れも不安もないようにまっすぐボクを見ている。グラスを持つ右手の薬指に、小さなダイヤの並んだ指輪。 テーブルには、レバー・ハーブ・パテの皿があり、傍らにザワークラウトが盛りつけられている。一瞬村上春樹の小説かと思いました。(ウソ) 「Kです。あのTさんの友達の」 「あ」 なんと、高校時代の同級生だった。 ただクラスが同じになったことがないので、顔が記憶がまだ繋がらない。 「あの、席、替わりましょうか?」 と隣りの御婦人。 「あ、すみません。でも結構です。もう帰りますんで」 とボクは立ち上がって、Kさんにも挨拶した。 ひとりで新宿に映画を観に行った帰りだそうだ。 うーん、それでここに寄ってひと息。 シブイなぁ。彼女も、そういう使われ方してるこの店も。 なんだかこの店がどんどん好きになってしまった。 今度またシブイタイミングで、つかの間のひと息をキメに来たい。
by mqusumi
| 2008-04-27 11:39
| こんなものを食べた
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