昨日神保町で、美學校の生徒たちと帰りに寄った中華屋に
高見盛が小柄な若い男性とふたりで入ってきて、
隣の隣のテーブルで食べてた。
鬢付け油のよい匂いがこちらまで来た。
それまでガラガラだった地下の店が、
高見盛が来てしばらくすると、どんどんお客さんが増えた。
皆知らないで入ってきて、高見盛を見つけるとビックリして嬉しそうだった。
ボクらも嬉しかった。
高見盛は静かに話して食べていた。
生徒の一人が、
「富士山を見たような気持ち」
と言って思わず手を合わせていた。
たしかにたしかに。
いいことがあるような気がした。
果たして今日、ささやかないいことがあった。